飲みに行くついでに(申し訳ありません)寄ったKANA KAWANISHI GALLERY。現代アートを観るたびに思う、思考ゲーム的な感覚を刺激される作品でした。

はっきりしない

作者の相澤さんは、道路脇の斜面の土砂に網が掛かっている様子をみて、ふとした違和感を感じたことから本展の着想を得た得たそうです。

この斜面を自然物とも人工物とも言い切れない中間的領域の象徴性として捉えたんですね。

この中間的な領域を、私は廃墟や伸び放題の植木に見ます。これは自然に戻ろうとしている姿です。相澤さんは、これから生まれるであろう、人工物に、その中間的な領域を発見したようです。

この中間領域をノーマンズランドと呼んでいるんですね。ノーマンズランドをwikiで調べるてみました。

「所有者のいない土地」「無人地帯」「荒地」あるいは「軍事対立の中間の、いずれの勢力によっても統治されていない領域」転じて一般的にはっきりしない状態

錆びで書かれた文字

これはサンテグジュペリ(代表作:星の王子様)の「人間の土地」からの引だとのこと。

宮崎駿さんが表紙の絵とエッセイが最後に掲載されています。

前後にももう少し文章があるので掲載します。

「人間であるということはとりもなおさず責任を持つことだ。
人間であるということは、自分には関係がないと思われるような不幸な出来事に対して忸怩たることだ。
人間であるということは、自分の僚友が勝ち得た勝利を誇りとすることだ。
人間であるということは、自分の石をそこに据えながら、世界の建設に加担していると感じることだ。

この文字はサビで書かれています。サビはゆっくりと侵食していつか自分自身も滅ぼしてしまいます。
ちなみに「人間の土地」原題は「Terre des hommes」翻訳すると「人間たちの地球」という意味になるらしいです。

この写真集も掲載しておきます。世界遺産にもなった軍艦島の写真集です。ここも中間的な領域と呼んで良いかもしれません。

奈良原一高さんが早稲田大学の大学院時代に撮影した軍艦島の写真 写真集のタイトルは「人間の土地」

なんだか、相澤さん作品の意図を私なりに紐解けたように思えました。

森下にある中間的な領域?

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KANA KAWANISHI GALLERY